約数と公約数の学習の後、今度は、その数を基点とした数の属性群を考えるというのが倍数の学習です。約数は有限の個数であるのに対して、倍数は無限の個数であるという違いをどう上手くイメージさせるかも、指導のポイントとなります。
 では、12と30の公倍数を考える場合(正の数のみが対象の場合)は、12を1×2×2×3、30を1×2×3×5と素因数分解して、双方の共通項と、異なる項を見ていきいます。そうすると、1×2×3が共通項で、異なる項は、12では×2、30では×5となり、これらを合算した1×2×3×2×5が公倍数の一つとなるわけです。その結果、60が公倍数となり、この60に×2=120、×3=180、・・・としたものが公倍数となります。そして、最小公倍数は60となります。
 また、462と390といった大きな数の倍数を求める問題は教科書には出てきませんが、列記する方法ではほとんどお手上げになります。
 下記のように素因数分解すると、その和集合が公倍数ですので、
 462=1×2×3×7×11
 390=1×2×3×5×13
1×2×3×5×7×11×13=30030と簡単に求めることができます。 倍数と公倍数の指導については、「算数授業要約ちゃんねる」でも取り上げていますので、ご興味のある方は、ぜひご覧ください。(終了)

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。