コメントを頂いて、少し思いつきましたので、もう一つ書きたいと思います。数字には、アラビア数字(算用数字)、漢数字、ローマ数字などがあります。アラビア数字とは、0,1,2、・・・、9までの10個の数字です。漢数字とは、一、二、百、万などの数字です。ローマ数字とは、Ⅰ、Ⅱなどの数字で、10はⅩ、100はCを使います。これらの数字を、種類で分けてみると、漢数字とローマ数字が同じ種類となります。漢数字とローマ数字は、数字が大きくなると、次々にその単位を示す新しい漢字や記号が必要となります。メリットは、二百 三十 四は、三十 四 二百と左右の順序を入れ替えても、表す数の大きさが等しいということです(通常このようなことはしませんが)。これはローマ数字も同じで、それぞれ数の記号が異なるので、順序を入れ替えても問題がありません。
一方、アラビア数字は、0~9までの10個の記号のみで、全ての数を表すことができます。その秘訣は、数の位置関係に意味づけを行ったことと、0の使用にあります。例えば、2と3という数字を用いた場合、23と32は同じ数字を1回ずつ用いていますが、左右の位置関係の違いによって、数の大きさが異なります。このように、数字を左右のどの位置におくかで数の大きさが違うため、たった10個の記号で様々な数の大きさを表現することができるのです。また、0という概念の発見と、0という記号の発明も重要でした。これにより、漢数字で二百三と記した場合、10の位は何も記しませんが、アラビア数字で同じようにしてしまうと、23となってしまいます。ここに0という記号を用いることで、203と表すことができるようになったのです。アラビア数字は、有限の記号を用いて無限にチャレンジするという凄い試みであったのです。(終了)
投稿者プロフィール
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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。
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