小学校4年生では、億、兆といった大きな数を学びます。そして、さらに大きな数として京(けい)、垓(がい)などがあり、無量大数(10の68乗)へと続いていくということに触れます。先生が無量大数よりもさらに大きな数があり、無限に大きな数があるというと、子どもたちの中には、「それやったら、兆に兆をかけて、さらに兆をかけて、兆・兆・兆・・・・」と、テンションがやたらと上がってしまう子もいたりします。一つ一つの数は、厳密な具体ですが、それを限りなく大きくしていく無限というのは「感覚的な抽象」の世界です。この無限を「厳格な抽象」にしていくのは、高校の数学になりますが、「n→∞」は、なかなかに手ごわいものといえます。4年生の大きな数の学習は、億や兆といった大きな数の単位を学ぶというだけでなく、「大きな無限」の学びの始まりといえるのです。
投稿者プロフィール

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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。
コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。
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