豊田市保見団地は日本の中でも外国人の割合が極めて多く、校区の西保見小学校は約7割(令和3年4月学校HPより)、保見中学校は約4割(学校HPより算出)が外国人児童生徒です。日本の未来は、日本語を母語としない子どもたちの教育をどう保障していくかにかかっていると言えます。2027年からは、特定技能から育成就労へと制度が切り替わる予定であり、より多くの、そして長期の外国人の方の在住を前提に社会の在り方を考えていく必要があります。中でも、帯同する子どもたちに対しての学力の保障は、待ったなしといえます。

 そこでは、各子どもの実情に応じて、多段階にわたる母語や日本語などによる学習環境を早急に整備し、小学校から高等学校段階までの12年間(幼稚園を含めれば15年間)をサポートする支援体制が求められています。私たちは、2016年度から多言語対応版算数・数学動画コンテンツを制作し、現在は小学校算数から高校数学までの約3,300本の動画を専用ホームページで無償公開しています。併せて、今後は、リアルタイム多言語翻訳システムを開発・運用し、母語での授業参加が可能な環境構築へとつなげていく予定です。

 現在、高等学校の門戸は外国人特別推薦枠などの新たな入試制度によって開きつつありますが、同時に入学後の授業サポートが不可欠です。文部科学省の令和4年度時点のデータでは、高校生の中途退学率は全体では1.1%であるのに対して、外国人生徒(日本語指導が必要な生徒)では8.5%と極めて高いという実態があります。

 保見中学校と衣台高等学校が今後様々な形で連携していくとのことですので、こうした課題を少しでも克服することが、日本の未来につながる取り組みになると考えており、母語と日本語での授業支援システムの分野で、私も積極的に関わっていきたいと思います。