私は、小学校の算数教育、中・高等学校の数学教育を専門としており、数学の専門性の伸長とともに、算数・数学教育への架け橋的視点を持つことができるように指導を行っています。
ところで、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の論点整理【概要】(令和7年10月15日)に示されている「教師の育成は、⼤学全体の学びの中でなされるべきであり、教職課程において共通で学ぶ内容は厳選し、学⽣が⾃らの強みや専⾨性を⾼める」については、確かに強みを活かした専門性の伸長が重要であると思います。
数学の専門性の高さが、算数・数学教育を考える上での柔軟性につながると思っており、専門性が弱いと「こういう問題は、こう解きなさい」であったり、「つべこべ言わずに覚えなさい」的な指導になりがちです(言葉がきつくてすみません)。その意味で、専門性の高さが、学問の懐の深さを垣間見せることにつながると信じています。
一方で、数学の専門性の高さばかりが強調されすぎてしまうと、上から目線的な対応になってしまうことも事実であり、「数学の先生は、なんか偉そうに教えてる感じがする」といった指摘もあったりします(最近は本当にめっきりと減りました)。
ここで私の言いたいことは、教員を志す大学生が各学問分野の専門性を高める際に、それを指導する大学教員に、教育的視点(教員養成の視点)が必要なのではないかということです。
ちなみに京都教育大学の数学科教員は、現在、代数学1名、幾何学1名、解析学2名、応用数学1名、数学教育1名の6名体制で運営しています。その内の5名が、中学校数学と高等学校数学の教員免許を持っています。また、その内の3名の出身大学も、京都教育大学、大阪教育大学、奈良教育大学です。逆に言えば、数学の学問としての専門性と教育との架け橋に明るい人材を積極的に採用してきたということです。そのため、大学での純粋数学の内容は、教員養成を意識したものとなっており、そのことの教育的効果は極めて高いと思っています。
教育的視点を土台として、学問の専門性の伸長がなされる大学教育(教職課程)の充実こそが、現在の多様な子どもの学びの伸長に対応することにつながると考えています。
投稿者プロフィール

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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。
コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。
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