前回、文部科学省による教員定年延長制度の影響予測について述べました。今回は,文部科学省による公立学校年齢別教員数を見ていきたいと思います(文部科学省「令和4年度(令和3年度実施)公立学校教員採用選考試験の実施状況について」2022年9月9日より)。
このグラフは令和3年度のものですので、2023年度末に退職予定の教員の年齢は、58歳のところになります。実際には、この58歳の先生の定年年齢は61歳なので、2024年度末退職予定となります。。小学校は灰色、中学校はピンク色、高等学校は緑色です。このグラフからわかるように、定年延長が実施されていく年齢層の教員数は、他の年齢層よりも数が多いため、定年延長制度の影響が大きく反映されることになります。この表での58歳から53歳までの先生方が、1年ずつ定年が延長していきますので、小・中学校で見ると、毎年約1万5千人ずつとなります。もちろん、従前から再雇用制度はありましたので、そのあたりは考慮して考える必要があります。
次回は、教員採用について解説します。

投稿者プロフィール

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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。
コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。
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