図は、文部科学省から示されている公立学校教員の退職者数の推移です。2024年度末(令和6年度末)までは確定値ですので、実線となっています。2025年度末以降は推定値ですので、破線となっています。2022年度末(令和4年度末)まではなだらかな推移でしたが、2023年度末(令和5年度末)から大幅な上下変動が見られます。要は退職者数が、隔年で大幅に減少するということを示した図です。その理由は、年次推移で現在進行している退職年齢の65歳までの引き上げによります。

 私は、今年度61歳(なんと明日です)になりますが、61歳の人の退職年齢は62歳ですので、私と同級生の退職年度は2026年度末(令和8年度末)となります。現在、私よりも一つ下の60歳の人の退職年齢は63歳ですので、退職年度は2028年度末(令和10年度末)となります。そして、現在、59歳の人の退職年齢は64歳ですので、退職年度は2030年度末(令和12年度末)となり、58歳の人の退職年齢は65歳ですので、退職年度は2032年度末(令和14年度末)となるわけです。このように、2年ごとに退職者が増加しますので、大幅な上下変動が生じるのです。その後の57歳以下の人の退職年齢は今のところ65歳で固定ですので、2033年度末(令和15年度末)以降はなだらかになります。

 このデータが物語っていることは、2032年度までは退職年齢の順次引き上げに伴い教員総数が増加する(退職しない)ということです。61歳までの延長時には、1年ぐらいであればということで、ある一定数の先生が早期退職されましたが、これからは本格的に退職年齢の引き上げの影響が学校現場に出てきます。

 次回は、教員採用予定者数の推移について読み解きたいと思います。

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。

コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。