教職課程の仕組みを変えるには、大変な労力が必要であるとともに、実現までに時間のかかる作業となります。未来をどう正確に予測し、施策に反映させていくかが鍵となります。

 上の図は、2025年6月時点の年齢ごとの人口数です。一目で人口が年々減少していることがわかります。ざっくり、中学校では1学年の平均が約105万人、小学校では1学年の平均が約98万人、年長までの乳幼児の1学年の平均が78万人となっています。

ところで、約10年前には幼稚園・保育園に入ることのできない待機児童問題が、日本の大きな教育課題となっていました。実際、子ども家庭庁のデータでも2017年4月には26,081人であったのが、2024年4月には2,567人と1/10以下になっています。そのため、現在ではあまり話題に上ってきません。この要因として、園での受け入れ人数の拡大もありますが、就学前人口の想定以上の減少が大きいことが挙げられます。むしろ現在では、あまりの少子化のために、「教職員の雇用」と「園の経営」の方に問題がシフトしつつあります。

概要資料(令和6年4月の待機児童数調査のポイント)

下の図は、上の図をもとに、8年後の2033年6月の年齢ごとの人口予想数を出したものです。ちょうど、再課程認定による新たな教職課程で学んだ学生が、学校教員として就職する年となります。

 中学校では1学年の平均が約105万人から約87.5万人へ、小学校では1学年の平均が約98万人から約75万人へと大幅な減少が予想されます。割合でいうと中学校が約83%に、小学校が約76%になる計算です。なお、小学校のグラフには1年生、2年生がまだありませんので、実際の減少幅はさらに大きくなると予想されます。

 日本全国で約1/4の小学生と約1/5の中学生が減少するという未来に対して、これからの教員の養成はどうあるべきか、幼稚園・保育園での待機児童問題の動向も踏まえて、しっかりと考えていく必要があると思います。

 次回は、教員免許状取得者数と公立学校教員採用者数の関係を読み解きたいと思います。

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。

コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。