昨日の文部科学省からの調査公開の情報に続き、実際の小・中学生の不登校の調査結果の詳細を見ていきたいと思います。
まず、不登校の数ですが、小学生では130,370人で前年度比24ポイント増、中学生では216,112人で前年度比11ポイント増となっており、小学生でより増加率の高い状況が4年連続で続いています。
小学生では、2020年度の63,350人からわずか3年後の2023年度には130,370人と、2倍を超える増加の勢いです。
続いて在籍児童生徒総数と比べた際の不登校の人数を見ていきます。文部科学省は1,000人当たりの人数を出していますが、少し実感がわきにくいので、ここでは何人に1人の割合という計算を行います。小学生は全6,100,280人に対して130,370人の不登校ですので、わり算をすると約47人に1人となり、中学生は全3,220,963人に対して216,112人の不登校ですので、わり算をすると約15人に1人となります。
学級単位で考えると、小学校は3クラスに約2人、中学校は1クラスに約2人の不登校となります。
これらが、2023年度の不登校児童生徒数の概要となります。昨年度に引き続き、データは極めて厳しい現実を示しています。なお、在籍児童数・生徒数のところに、小学校では「-9万6千人」、中学校では「-2万4千人」と書いていますが、これが前年度からの児童生徒の減少数です。1学年1万人単位で減少しており、この動きは、今後加速度的に進みます(義務教育学校への移行による人数減少の影響もありますが、桁が異なりますのでここでは取り上げません)。
次回は、長期欠席児童生徒数について取り上げます。

投稿者プロフィール

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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。
コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。
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