小数のわり算のひっ算では、小数点移動がとても複雑です。特に、わる数が小数の場合は、いったん小数点移動して計算して、その後、あまりを求める段階では、小数点を戻してくるといった煩雑さが伴います。これは添付写真の左側のように、わり算の場合、わられる数とわる数をそれぞれ10倍、100倍して計算しても、商は変わらないが、あまりは10倍、100倍に変わるので、小数点を改めて戻すという作業を行っています。しかし、子どもたちは、この意味を正確に理解しているとはあまり思えません。そこで、添付写真のように、小数点を移動させずに一度しっかりとわり算のひっ算をさせてから、便宜上、小数点を移動して整数のわり算に直して計算しているというような指導をすると、少しは意味が分かってくれるのかなあと思ったりします(大した効果はないかもしれないのですが)。たし算、ひき算のところでも述べましたが、手順をがちがちにマニュアル化して、それを訓練によって確実に習得させるというところだけに力が入りすぎない計算指導ができないものかと思っています。
投稿者プロフィール
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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。