これまで「認知能力」と「非認知能力」という言葉の使い方は、二項対立的なイメージを持たせがちな用語であると感じてきました。教育の世界では、これまでも「形式陶冶か実質陶冶」や、「系統主義か生活(総合)主義」といった言葉が用いられてきましたが、どうしてもあれかこれか的な思考にひっぱられ、いずれかを批判的に捉えてしまう傾向に陥りがちだと思っていました。
 なお、「社動スキル」という用語は、「社会情動的スキル」が長くて覚えにくいので、私がかってに省略して作った言葉ですが、「社動って何?」と聞かれた際に、社会において主体的に対応・適応する能力と、自己の感情(情動)を適切にコントロールする能力といった具合に、非常に答えやすい気がしています。
 一方で、「非認知能力って何?」という質問に対しては、みなさん言うことが結構バラバラであったり、「言いよどまれる」場合が少なくないと感じています。  かなり勝手な発言ですので、お叱りを受けるかもしれませんが、「社動スキル」は、shadowのごろ合わせも少し意識していまして、少しでも広まってくれるといいなあと密かに願っています。

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。