ウィキペディアでは、「プロボノ(Pro bono)とは、各分野の専門家が、職業上持っている知識やスキルを無償提供して社会貢献するボランティア活動全般。または、それに参加する専門家自身。」のこととされています。
 学校の先生方を対象に、ICT動画教材の制作等の講座をしたりすることがありますが、そこで各先生が制作した動画教材を市レベルのサーバーで共有することの提案などを行ったりするのですが、そのことに対する抵抗感が、先生方や教育委員会の双方にかなり強くあると思っています。「自分が制作したものは自分のものであって、他者が使うのはちょっと・・」、「やっぱり教材は自分で作らないと一人前の教師と言えない。」、「それを誰かが使ってみて、他の人から注文や文句を言われるのはいやだし。」といった反応が聞こえてきそうです。
 確かに、私も学生にはICT動画教材の制作を講義内で課しており、今後はその力が一人ひとりに必須だと思っています。と同時に、時間のない現職の先生方は、様々な先生が制作した動画教材を効果的に共有・使用してほしいと願っています。
 そうした中で、先生方の意識において少し欠けているのが「プロボノ」精神だと思っています。専門的知識を、私(のクラス)だけのものとせず、社会へ貢献することにこそ、大きな価値があることを、先生方の中で共有していくことのできる組織になってほしいと願っています。

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。