今回は、学年別の不登校・長期欠席児童生徒数の変化を見ていきます。数値が見えにくいですので、要点を簡単に述べておきます。まず、不登校ですが、小学校の各学年において全般的に前年度からの増加率が大きく、とりわけ1年生と2年生に深刻な状況が生じています。中学校は、2年生が最も多いですが、軒並み横ばいという状況です。次に長期欠席ですが、小学校は、コロナ回避の欠席がかなり減りましたので、全体としては昨年度より若干増加という感じです。中学校は、不登校と傾向が似ています。
 続いて、前年度から不登校(不登校の長期化)についてみてみると、小学校の各学年において全般的に増加しており、とりわけ2年生と3年生に深刻な状況が生じています(1年生は前年度からのデータなし)。
 まとめると、以前は不登校は中学校を中心とした教育課題でしたが、ここ数年の動向を見ると、現在では小学校、それも低学年から始まり、長期化する傾向にある新たな教育課題として捉え、対策を講じていく必要があるということが言えます。
 次回は、近畿二府四県の小学校の不登校データについて取り上げます。

投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。