8月19日(土)に、これからの算数・数学教育を考える会をオンライン開催しました。この会は、京都教育大学の第4期中期目標・中期計画の取組の一環として、大学と附属学校等が連携して算数・数学のカリキュラムを開発・実践し、広く学校現場への発信・交流を目的にしています。
会ではまず、木村徳宏教諭(京都府八幡市立男山中学校)から「ICTを活用した中学校数学の現在地」についての発表がありました。ICTの特性を活かした数学の授業設計や生徒の学びの言語化とその評価についての実践事例が報告されました(写真①:振り返りの評価の方法)。質疑では、学校現場におけるICT利用のあり方、若手とベテラン教員とのICT活用に関する溝をどのように克服しているのかといったことついて議論しました。
続いて、柴原大樹教諭(三重県津市立橋北中学校)から「中学校における関数指導の実践 ~生徒も教師も関数分野が難しいのはなぜ?~」についての発表がありました。具体的な事象にある2つの量の関係に着目し、そこから表・式・グラフを関連付けて関数の概念を学ぶ授業実践が報告されました。質疑では、微積につながる関数指導と、解析幾何につながる関数指導をどのように切り分けて中学校では扱うことが適切であるかについてについて議論しました(写真②:質疑応答場面)。
最後に、黒田恭史から「不登校の子どもの算数・数学学習支援最前線」についての発表がありました。コロナ禍により、不登校の子どもは小学生を中心に急増しており、また不登校が長期化する傾向にあることをデータをもとに説明し、そうした状況下でのICTによる学習支援が今後さらに重要になることについて議論しました(写真③:長期欠席児童・生徒数のスライド)。
会には、13都道府県から35名が参加されました。会終了後も、30分程度わいわい楽しく議論しました。
次回は2024年11月25日(土)にオンライン開催で実施します。
投稿者プロフィール
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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。
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