この間、小学校の教科担任制に関して、フェイスブック内で少し議論しておりました。実は、昨年度の学内プロジェクトで、ほぼ1年前に、小学校の教科担任制について近畿二府四県の教育委員会にアンケート調査を行っておりました。ある程度の概略を纏めてパンフレットにして配布したのですが、その後ほったらかしにしておりました。ちょうど、いいタイミングと思いますので、議論を再開したいと思います。小出しにしていきますのでよろしくお願いいたします。
プロジェクトの主旨
日本における少子高齢化の波は、急速に進展しつつある。とりわけ、新型コロナウィルスの影響は、少子化にさらなる拍車をかけることになった。
少子高齢化が急速に進み、人類が未経験の課題に一早く直面する課題先進国としての日本にとって、教育に関連する問題もその例外ではない。少子化は、学校規模の小規模化をもたらし、長らく続いた6・3・3制の日本の学校システムの再検討を余儀なくされるであろう。高齢化は、国の資金運営を維持していくためにも、教員の定年制の延長などの新たな施策によって対応していかなくてはならない。初等教育教科内容の多様化や専門化は、専門的知識を有した教科担任制を小学校段階にも適用していく必要が生じてきた。また、GIGAスクール構想などに主体的に対応できる教員の育成が急務といえる。
本プロジェクトでは、こうした社会構造の大変革期において、義務教育学校の増設、教員定年の延長、小学校における教科担任制の導入、GIGAスクール構想の取り組み、さらには今後の教員採用の動向に着目し、これからの小・中学校がどのように変容していくのかについて、近畿二府四県の教育委員会へのアンケート調査をもとに、分析することを目的としている。それらを踏まえ、これからの小・中学校現場において、柔軟で主体的に対応することのできる教員を養成するための、新しい教員養成のあり方について検討していきたい。
実施時期 2022年6月~7月
実施対象 近畿二府四県の府県市町村教育委員会(202件)
投稿者プロフィール

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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「生成AIを用いた算数・数学教育」。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。2008年には『ブタがいた教室』として映画化。
コロナ禍の中で、日本語及び多言語に対応した算数・数学動画教材約3,300本を制作・公開した取り組みにより、2022年第7回IMS Japan賞優秀賞受賞、2023年第3回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞(教育の部)受賞、2023年日本民間放送連盟賞(特別表彰 青少年向け番組)最優秀賞受賞した。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「初等算数科教育法序論」(共立出版),「オリガミクスで算数・数学教育」(共立出版)などがある。
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