今回は、時事通信社「2024年度(2023年夏実施)教員採用試験採用予定者数一覧(2023年8月2日現在)」を見ていきたいと思います。
 非常に細かな数字が並んでいますので、詳細をお知りになりたい方は、オリジナルを見ていただいた方がよいと思います。ここでは、ざっくりと前年度から採用枠が増加している自治体と、減少している自治体を見ていきたいと思います。本来ですと、自治体の規模によって増減の持つ意味が異なりますので、割合で見る方が正確なのですが、ここでは前年度比±50人以上の自治体をピックアップしておきます。
 増加する自治体:東京都(+610)、千葉県(+200)、北海道(+111)、さいたま市(+108)、神戸市(+80)、沖縄県(+70)、福島県(+67)、堺市(+64)、山口県(+63)
 減少する自治体:大阪府(-285)、埼玉県(-222)、福岡市(-111)、仙台市(-100)、愛知県(-100)、岐阜市(-84)、福岡県(-60)、大分県(-59)、熊本県(-58)、名古屋市(-55)
 なかなか、○○地方といった地域の傾向や、自治体の人口数などによる傾向が見えず、各自治体の事情がそれぞれ異なっているように思いますが、少しだけ検討しておきます。
 九州地方は、減少する自治体が多い傾向にあります。愛知県と名古屋市はいずれも減少ですが、埼玉県は減少、さいたま市は増加など、一つの県内でも異なる傾向が見られるところもあります。どうしても、私たちは移住地域の増減に目が向きがちですが、当然のことながら、全国的な減少が生じ始めると、大学生が教員採用枠のあるところへと流れていきますので、全国的な傾向につながっていくと予想されます。その意味で、全国の状況を知っておくことも大切だと思っています。

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投稿者プロフィール

黒田恭史
黒田恭史
大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。

小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。

著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。