小学生の頃に見たテレビアニメ番組とオーバーラップし、宮﨑監督がアニメ界に残した足跡を垣間見る作品でした。
毎週日曜(19:30-20:00)にテレビ放送された「アルプスの少女ハイジ(1974年)」、「フランダースの犬(1975年)」、「母をたずねて三千里(1976年)」は、アニメ番組の不朽の三部作と思いますが、小学生ながらに見終わった後の切なさや、もどかしさがずっと心に残るものでした。この三部作に、故 高畑勲氏らとともに、宮﨑監督が携わっていたことを知ったのは、ずいぶんと後になってからのことでした。当時の他のアニメ番組が二次元の世界の描写に見えたのに対して、この三部作には三次元の世界が映し出されているような躍動感と、人の息吹や心の繊細な揺れが込められているように子ども心に感じていました。
宮﨑氏の映画初監督作品「ルパン三世 カリオストロの城(1979年)」を見たときも衝撃でした。ルパンは地球の重力などお構いなしに縦横無尽に空間を飛び回っていました。風の流れ、水のしぶき、地面のぬかるみなど、微細な表情が作り出すウェットな感覚をアニメ作品に注入することを成し遂げた天才であったと思います。
映画『君たちはどう生きるか』はその集大成であり、そして宮﨑監督から私たちへの君たちはどう生きるかというメッセージだと受け取りました。
投稿者プロフィール
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大阪教育大学卒業,大阪教育大学大学院修士課程修了,大阪大学大学院博士後期課程修了。博士(人間科学)。
大阪府内の公立小学校勤務8年の後,佛教大学専任講師,助教授,准教授,教授を経て,現在,京都教育大学教育学部教授。
京都教育大学では,小学校教員養成,中・高等学校(数学)教員養成に従事。近年の研究テーマは「数学教育と脳科学」の学際的研究。
小学校勤務時代,クラスで豚を飼うといった取り組みを3年間実践。フジテレビ「今夜は好奇心」にて1993年7月放映。第17回動物愛護映画コンクール「内閣総理大臣賞」受賞,第31回ギャラクシー賞テレビ部門「ギャラクシー奨励賞」受賞。
著書に,「豚のPちゃんと32人の小学生」(ミネルヴァ書房),「脳科学の算数・数学教育への応用」(ミネルヴァ書房),編著に「数学科教育法入門」(共立出版)などがある。
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